おひさまいろのきもの 作・絵：広野多珂子 出版：福音館書店 初版刊行年　2007年9月 小さい頃の病気で目が見えない女の子、ふうは秋祭りに新しい着物が欲しくてたまりません。 なかよしのお友だちのお家では着物地を織る、機の音が聞こえます。 お母さんは、夜にわらじを作る仕事を増やし、ふうの着物を作ろうと考えます。 はなのもようがついたきものがいいな。ふうには分かります。 おひさまのように温かい色の着物が織り上がったこと。 昔の道具や暮らしの様子が丁寧に描かれた美しい絵本。機織りや染めにご興味のある方もどうぞ。

やとのいえ 作｜八尾慶次 偕成社 初版刊行年　2020年8月 谷戸（やと）は地形を指す言葉でそこの浅い谷のこと。 変化に富んだ地形の集落に新しく建てられる家を中心に150年に渡って風景と暮らしの移り変わりを定点観測します。家のそばには、いつもにこやかに見守る16羅漢さんは変わらないですね。 景色のモデルは東京多摩市周辺とのこと。私は行ったことありませんが、絵本に描かれた風景は見覚えがある気がします。

つきとうばん 作：藤田雅矢 絵：梅田俊作 出版社：教育画劇 装丁／デザイン：オーノリュウスケ 小学生の頃、星の観察会がありました。 「今、見えてる星は、何万年も前の星の光を見ているので、もう、存在してないかもしれない」と聞いた時の驚きを覚えています。きっと事実に違いないのだろうけど、詩のように聞こえました。 『つきとうばん』が回ってきた家は、一年かけて、月や星の種をまき、実った月を夜空にはなちます。 星の実はコンペイ糖のよう。 そして、また、種を収穫し次の当番につなぎます。 何万年もの間、こうして循環し受け継がれてきたのでしょうか。作者の藤田雅矢さんは、農学博士だそうです。 月光に照らされる美しく豊かな時間の中に、責任と誇りが星のようにきらめいてみえます。

おばあちゃんとバスにのって 作：マット・デ・ラ・ペーニャ 絵：クリスチャン・ロビンソン 訳：石津ちひろ すずき出版　 初版刊行年　2016年 27.2cm×22.1cm　32p 日曜日は、おばあちゃんとバスでおでかけ。 おばあちゃんと一緒だと、いろんな人と出会って、仲良くなれる。 それに、おばあちゃんは、どこででもすてきなものをみつけちゃう。 さて、どこへ向かうのかな？ クリスチャン・ロビンソンの優しい絵の中には、多様な人物が登場しますね。

カタカタカタ おばあちゃんのたからもの 作：リン・シャオペイ 訳：宝迫典子 出版：ほるぷ出版　2018年8月10日第１刷 26cm×21cm　36p 台湾の人気作家、リン・シャオペイ作、愛らしい絵とお話しの絵本。 カタカタカタはすごいんだよ。かわいいものはぜんぶ、カタカタカタでおばあちゃんが作ったんだよ。わたしの劇の衣装も作るんだよ。でも、あれ？　音がしなくなった… 古いミシンはおばあちゃんのたからもの。袋でも服でも何でも作ってくれる素敵なおばあちゃん。でも、きっと、おばあちゃんのたからものは、あなた。

ジェシカといっしょ 作｜ケビン・ヘンクス 訳｜小風さち 徳間書店 2021年6月30日　初版第1刷 ジェシカとルーシーはどこへ行くのも、何をするのも一緒です。 でも、お父さんもお母さんは「ジェシカなんていう子はいませんよ」 子どもは一時期、心の中に親友を住まわせることがあります。 『ジェシカといっしょ』は、そんなイマジナリーフレンドを描いた絵本。

フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むな」ってなんだ！？ 著｜大久保青志 イーストプレス　2021年4月25日初版発行 渋谷陽一らと『ロッキング・オン』を創刊。内田裕也のマネージャーを務め、ロックフェス「郡山ワンステップフェスティバル」開催に携わり、「アトミック・カフェ」を主催。 土井たか子の秘書を経て東京都議会議員に当選、國弘正雄、保坂展人、辻元清美の政策秘書も務め、東日本大震災を機に、音楽フェスと政治デモに特化したイベント会社「レーベン企画」の社長に就任。代々木の反原発集会に10万人以上を集めたフジロック・フェスティバルのNGOヴィレッジ村長大久保青志の「音楽に政治を持ち込むな」ってなんだ！？

平太郎のおばけやしき 稲生物怪録絵巻より 文｜寮美千子 ロクリン社 初版刊行年　2016年7月 備後は三次のお侍の子、稲生平太郎は怖いもの知らず。 肝試しに百物語をしてみると、ふた月もたったある夜から 夜な夜な物怪がやってきては平太郎を脅かそうとしますが、まったく動じず。 稲生物怪録は、実在の人物をモデルしており、実際に体験した話だと言い伝えられています。 豪快愉快な物語として江戸後期から大人気になり、多くの写本、絵巻、講談になりました。 あんまり平太郎が動じないので、お化けたちを応援したくなります。

まちんと 文｜松谷みよ子 絵｜司　修 偕成社　1978年2月 昭和二十年八月六日の朝、げんしばくだんに　おうたげな 広島に住むもうすぐ三歳になる子が、原爆に巻き込まれました。 苦しみながらトマトを欲しがり、まちんと（もうちょっと）まちんとと言いながら 死んでいきました。 松谷みよ子さんの文に司修さんの絵が実感の重みを伴い心に根をおろす現代の民話。

なぜ戦争はよくないか 文｜アリス・ウォーカー 絵｜スティファーノ・ヴィタール 訳｜長田弘 偕成社　2008年12月　第1刷 何ひとつ良いことなどない戦争の無惨さを感覚的に訴えかける。 差別の構図を、その中で強く生きる黒人女性の姿を描いた『カラー・パープル』の著者アリス・ウォーカーが、2001年9月11日の同時多発テロに対する」アメリカの報復を知り、「戦争」が何かもわからないまま巻き込まれる子どもたちをこれ以上増やしたくない思いで作られた絵本。

しずかな夏休み 作｜キム・ジヒョン 光村教育図書　2021年6月20日　第１刷 31cm×22cm 48p 作者のキム・ジヒョンは、韓国とイギリスでデザインを勉強し、現在イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動中。本作は初の創作絵本となる。 少年が静かな湖畔で過ごす夏休みのひと時。 文字のないモノクロームの絵だけの構成ですが、木々のざわめきや湖の揺れる水面、降り注ぐ日の光に満天の星。大自然の営みが五感に直接語りかけてくるようです。

元素生活クリアファイルセット（色違い5枚セット） 大人気『元素生活』（化学同人）のうっすら色違いのクリアファイル5枚セット 擬人化された元素のイラストで覚えやすい！？ 化学同人

WORLD周期表クリアファイル01（柄違い5枚セット） 日本語で覚えるだけでは飽き足らない方のために。 漢字、フランス語、ドイツ語、ロシア語の118元素を全部掲載した周期表ファイル5枚セット。 化学同人

木 画：佐藤忠良 文：木島 始 出版：福音館書店 木は、何をかんがえているのだろう。 力強くて繊細なデッサンから、木の声が聴こえてきそうですね。 ものをよく見て観察し、描き留め、言葉に紡ぎ出すとはこういうことなのか、と思ってしまいます。 佐藤忠良さんは、『おおきなかぶ』でおなじみです。 木島始さんは、ジョン・バーニンガムの『ボルカ』やルース・クラウスの『はなをくんくん』、ジャック＝キーツの『ピーターのいす』など優れた外国絵本を多数、翻訳しました。

どしゃぶり 文：おーなり由子 絵：はたこうしろう 講談社 照りつける太陽の熱、地面の匂い、雨の音、体を打ち付ける雨粒 全身で受け止めるどしゃぶりの雨。 こんなに生き生きと気持ち良さそうに描かれると、真似したくなっちゃいますね。 はたこうしろうさんの絵本を読むと、外に飛び出して行きたくなります。

つのぶねのぼうけん 文｜ダシュカ・スレイダー 絵｜テリー・ファン＆エリック・ファン 訳｜田元明日香 化学同人 初版刊行年　2020年11月 ある日、海の向こうからつのぶねがやってきました。 きつねのマルコは、それをみて思います。 世界はどのくらい広いんだろう？ マルコは知りたいことがたくさんあります。 だけど、マルコの質問に答えてくれるきつねはいません。 あの船に乗ってどこか遠くにいけば、 質問に答えてくれるきつねがいるかもしれない。 そう考えたマルコは、つのぶねの航海に加わり、 シカやハトと一緒に船旅が始まりました。 ところがシカの船長は、計画性も統率力もなく、 みんなは次第に元気をなくしていきます。 状況が変化したのは、マルコが調理場で見つけた１冊の本。 料理の本をみて、おいしい料理を作り地図を見ることを提案します。 針路を定め、協力することで、困難も乗り切れるようになりました。 やがて目指す島に辿り着き、シカやハトは目的を果たします。マルコは？ 探していた質問に答えてくれるきつねに出会えたでしょうか？ 目的の違うもの同士が船で旅をする。 私たちの暮らす街やコミュニティもつのぶねと同じかもしれません。 自分と同じきつねこそ求める仲間と思っていたマルコには、 同乗しているシカやハトは目に入らなかったのでしょうね。 旅を通して、いろいろなことを知り、見えるようになりました。 探していたものは、案外近くにあるかもしれません。

海とそらがであうばしょ 作｜テリー・ファン＆エリック・ファン 訳｜増子久美 化学同人 初版刊行年　2020年11月 海のそばで暮らすフィンには行きたい場所がありました。 「海とそらがであうばしょ」 フィンは一人でふねを作り、旅の準備を始めます。 一緒に行こうと約束したおじいさんは、もういません。 いつの間にか、フィンの旅は始まっていました。 最初についたのは本の島では、山積みの本とたくさんの本好きな鳥たちが暮らしています。 本で得た知識や好奇心をお供に、フィンの旅は続きます。 深くて高くて、大きくて、どこまでも広がる世界へ。 いつも、そばで見守ってくれているおじいちゃんと 不思議で美しくて、驚きに満ちた出逢い。 いつだって、ふねをだすには　さいこうの日

江戸東京　ご利益事典 著｜長沢利明 笠間書院　2021年6月25日　初版第1刷発行 東京だけで638の霊験あらたかなご利益神仏をを故事・伝承を踏まえ解説。 神仏参りのガイドブックに持ち歩くには分厚すぎますが、伝承を読んでるだけでも楽しい。 毎日通り過ぎてたお地蔵さまや祠にも、いわれを知ると思わず手を合わせたくなりますね。

日本現代怪異事典　副読本 著｜朝里樹 笠間書院　2019年6月28日　初版第1刷発行 『日本現代怪異事典』をより詳しく掘り下げる副読本。類似怪異、出没場所、使用凶器、都道府県別に章立て、日本の怪異の系譜と変遷をわかりやすく解説。怪談としても読み応えがあります。

日本現代怪異事典 著｜朝里樹 笠間書院　2018年1月17日　初版第1刷発行 こっくりさん、口裂け女、トイレの花子さんなど、戦後から平成まで、日本の怪異を一千種類以上を50音順に掲載。類似怪異、出没場所、使用凶器、都道府県別などの索引も充実。うろ覚えのあの話も捜しやすい一冊。

日本怪異伝説事典 監修｜朝里樹 著｜えいとえふ 笠間書院　2020年12月25日　初版第1刷発行 日本各地に伝わる怪異で不思議な伝説を800項目以上地域別に掲載。 神話の時代から語り継がれた物語や、近現代に起こった不思議な出来事。 読むと地元の再発見や物語の舞台を訪れるなど、伝説を未来に繋ぐことにもなりますね。

みんなの民俗学　ヴァナキュラーってなんだ？ 島村恭則 平凡社新書 民俗学というと思い浮かぶのは、妖怪、昔話、伝説伝承かもしれません。 ですが、柳田国男も『遠野物語』の前書きに「これ目前の出来事なり」と書いたように「現代」を知る「現代学」なのです。 ついやってしまう願掛けやおまじない、いつの間にか定着してる家庭内のお約束、喫茶店のモーニングやB級グルメといった現代の日常も、民俗学の視点で探ることができるのです。 序章　ヴァナキュラーとは＜俗＞である 第１章　知られざる「家庭内のヴァナキュラー」 第２章　キャンパスのヴァナキュラー 第３章　働く人たちのヴァナキュラー 第４章　喫茶店モーニング習慣の謎 第５章　B級グルメはどこから来たか？ 第６章　水の上で暮らす人びと 第７章　宗教的ヴァナキュラー

廃仏毀釈 寺院・仏像破壊の真実 著｜畑中章宏 筑摩書房　2021年6月10日　初版第1刷発行 廃仏は仏を廃すること。毀釈は釈迦を毀すこと。 千年以上ものあいだ、神と仏は共存していたが、明治新政府の神道国教化政策により石仏の首ははねられ、仏像が火にくべられた。 その破壊に人々のためらいはなかったのか。 序章　神仏が共存していた時代 １章　毀釈の典型ー日吉・薩摩・隠岐ほか ２章　古都の惨状ー奈良・京都・鎌倉 ３章　聖地の変貌ー伊勢・諏訪・住吉・四国 ４章　「権現」の消滅ー吉野・出羽三山・金毘羅ほか ５章　「天皇」の隠蔽ー八王子・祇園・大和ほか 終章　廃仏毀釈は果たされたのか？

武井武雄　エクスリブリス額装 作｜武井武雄 額サイズ：17cm×22cm×2.5cm 箱あり Ex-Libris（エクスリブリス）とは、ラテン語で「〇〇の蔵書から」という意味で、本の見返しなどに貼る小紙片です。 かつて、本は非常に高価な宝物だったので、所有者が誰であるかをはっきりさせることが重要でした。趣向を凝らしたEx-Librisは「神の宝石」と呼ばれ、蒐集の対象にもなりました。 そんな紙の本ならではの楽しみも知っていただきたく、Ex-Librisをご紹介しています。